料理好きなら一度は憧れる木製のまな板。トントンと響く心地よい音や柔らかな刃当たりは、毎日の食事をつくる時間を豊かにしてくれます。しかし、「手入れが難しそう」「カビが心配」と購入を迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、木の種類による特徴やメリット、長く使うための正しいお手入れ方法まで詳しく解説します。自分にぴったりの一枚を見つけ、キッチンをよりおしゃれで快適な空間にしましょう。
- 木製まな板のよさとは?メリット・デメリットを解説
- メリット|包丁に優しく、疲れにくい
- デメリット|カビや手入れの手間がかかる
- 木製まな板の選び方
- 木の種類で選ぶ
- 一枚板か、接ぎ板(集成材)か
- 形(長方形・正方形・丸型)で選ぶ
- 厚さ(自立するか、削り直せるか)
- 食洗機対応かどうか
- 編集部が厳選!木製まな板のおすすめ8選
- 木製まな板の正しいお手入れ方法
- 1. 使う前の「水濡らし」が寿命を決める
- 2. 洗う時は「たわし」で「木目に沿って」
- 3. 風通しの良い日陰でしっかり乾かす
- カビ・黒ずみが生えたときの除去方法は?
- 軽いカビならヤスリで落とせる
- 深い黒ずみにはどう対処する?
- 「削り直し」サービスを利用して一生モノに
- 木製まな板に関するよくある質問
- まとめ
木製まな板のよさとは?メリット・デメリットを解説
木製のまな板は、古くからプロの料理人や料理愛好家に親しまれてきました。単に見た目がおしゃれというだけでなく、調理道具としての優れた機能性を備えています。
素材が持つ自然な風合いはキッチンに温かみを与えますが、天然素材ゆえの弱点も存在します。購入してから後悔しないよう、よい点と注意点の両方をしっかり理解しておきましょう。
メリット|包丁に優しく、疲れにくい
最大のメリットは、刃当たりの柔らかさです。木質がクッションとなり包丁の刃を受け止めるため、刃こぼれしにくく切れ味が長持ちします。プラスチック製やゴム製と比較すると、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | 木製 | プラスチック製 |
|---|---|---|
| 刃当たり | ◎ 柔らかい | △ 硬く滑りやすい |
| 手首への負担 | ◎ 衝撃を吸収し疲れにくい | △ 衝撃が伝わりやすい |
| 音 | ◎ トントンと心地よい | ◯ 硬質な音 |
| 重さ | ◯ 比較的軽量 | ◯ 軽量 |
このように、木製は千切りなど長時間の調理でも疲れにくいのが特徴です。また、食材を切るときの軽快な音も料理のモチベーションを高めてくれます。
デメリット|カビや手入れの手間がかかる
天然素材であるため、吸水性が高く、使用後のケアを怠るとカビや黒ずみの原因になります。主な注意点は以下の通りです。
- 除菌の難しさ:プラスチック製のように漂白剤で手軽に除菌しにくい
- 衛生管理:濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすい
- 変形リスク:乾燥が不十分だと反りや割れが生じることがある
これを「手間」と捉えるか、「道具を育てる楽しみ」と捉えるかで相性が変わるでしょう。
木製まな板の選び方
木製のまな板と一口にいっても、使用されている木材や加工方法によって使い心地は大きく異なります。自分の調理スタイルやキッチンの環境に合わせて選ぶことが大切です。
選び方のポイントまとめ
- 木の種類:ヒノキ、イチョウ、キリ、オリーブなど素材ごとの特徴で選ぶ
- 構造:一枚板の風合いか、接ぎ板(集成材)の機能性か
- 形状:キッチンの広さや使い勝手に合わせた形を選ぶ
- 厚さ:削り直して長く使うなら厚みのあるものを
- 食洗機:手入れを楽にしたいなら対応モデルを確認
木の種類で選ぶ
まな板に使われる木材にはそれぞれ個性があります。刃当たりのよさ、水はけ、香り、見た目など、重視したいポイントに合わせて素材を選びましょう。代表的な4つの種類を比較しました。
| 木の種類 | 刃当たり・硬さ | 水はけ・乾燥 | おすすめな人・特徴 |
|---|---|---|---|
| ヒノキ | ◯ 適度な弾力 | ◯ 耐水性高い | 香りを楽しみたい、衛生面重視の人 |
| イチョウ | ◎ 柔らかい | ◎ 良い | プロ志向、包丁を長時間使う人 |
| キリ | ◯ 柔らかい | ◎ 非常に早い | 軽いまな板が欲しい、力に自信がない人 |
| オリーブ | △ 硬め | ◯ 普通 | おしゃれ重視、サービングボード兼用 |
ヒノキ(桧)
日本で古くから最高級の建材として知られるヒノキは、まな板の素材としても優秀です。特有の清々しい香りがあり、食材の臭みがつきにくいといわれています。また、耐水性が高く、天然の抗菌・防虫成分を含んでいるため、衛生的に使いやすいのも魅力です。程よい弾力があり、包丁の刃を傷めにくいバランスのよい素材です。
イチョウ(銀杏)
プロの料理人が愛用することでも知られるイチョウは、油分を多く含んでいるため水はけがよく、復元力が高いのが特徴です。包丁の切り跡が自然に塞がろうとする働きがあり、表面が滑らかに保たれます。柔らかく弾力があるため、腕への負担が少なく、長時間包丁を使う人に特におすすめです。
キリ(桐)
キリの最大の特徴は、非常に軽くて乾きが早いことです。水切れがよいためカビが発生しにくく、黒ずみの心配も比較的少ない素材です。女性や高齢の方でも片手で楽に扱えるため、毎日の出し入れが苦になりません。ただし、素材が柔らかいため傷はつきやすい傾向があります。
オリーブ・アカシア(洋風)
キッチンをおしゃれに見せたいなら、美しい木目が特徴のオリーブやアカシアが人気です。硬度が高く傷に強いため、パンやチーズをカットしてそのまま食卓に出すサービングボード(カッティングボード)としても活躍します。水はけもよいですが、和包丁のような繊細な刃には少し硬く感じる場合があります。
一枚板か、接ぎ板(集成材)か
木材の加工方法には主に「一枚板」と「接ぎ板(集成材)」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して選びましょう。
| 構造 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 一枚板 | 丸太から切り出したそのままの板 | 木の風合いが豊か 接着剤不使用 | 価格が高い 反りやすい |
| 接ぎ板 | 複数の木片を貼り合わせた板 | 安価で手に入りやすい 反りにくい | 接着剤を使用 自然な風合いは劣る |
本格的なこだわり派には一枚板、日常使いの手軽さを求めるなら接ぎ板が適しています。
形(長方形・正方形・丸型)で選ぶ
一般的な長方形は作業スペースが広く、魚一匹をさばく際などに便利です。
一方、最近人気なのが正方形や丸型。奥行きがあるため、切った食材を奥に置いて別の作業をするなど、スペースを有効活用できます。
また、丸型は回転させながら使えるため、狭いキッチンでも扱いやすく、デザイン性も高いためそのまま食卓に出しても様になります。
厚さ(自立するか、削り直せるか)
長く使い続けたいなら、3cm以上の厚みがあるものがおすすめです。
厚みがあると反りにくく、表面が傷んでも「削り直し」をして新品同様に再生できます。
また、厚みがあればスタンドなしで自立するタイプもあり、収納時に場所をとりません。薄いものは軽くて扱いやすいですが、削り直しが難しく、反りやすい点に注意が必要です。
食洗機対応かどうか
基本的に木製まな板は、高温や強力な洗剤に弱いため食洗機は使用不可です。
しかし、最近では特殊な加工や塗装を施し、食洗機に対応した木製まな板も登場しています。
忙しくて手洗いの時間が取れないけれど、木の質感を楽しみたいという人は、必ず「食洗機対応」と明記された商品を選びましょう。
編集部が厳選!木製まな板のおすすめ8選
ここでは、機能性やデザイン、コストパフォーマンスに優れた木製まな板を厳選して紹介します。
本格的な一枚板から、ひとり暮らしのキッチンにもなじむおしゃれな丸型、手入れのしやすい加工タイプまで幅広くピックアップしました。
木製まな板の正しいお手入れ方法
木製まな板を長く清潔に使いつづけるためには、日々の習慣が大切です。
基本の「使う前」「洗う時」「乾かす時」の3ステップを押さえておけば、カビや黒ずみを過度に恐れる必要はありません。
1. 使う前の「水濡らし」が寿命を決める
調理を始める前に、必ずまな板の両面を水でさっと濡らし、清潔な布巾で軽く拭き取りましょう。
これにより表面に水の膜ができ、肉や魚のドリップ、野菜の色素や匂いが木に染み込むのを防げます。このひと手間を加えるだけで、汚れ落ちが格段によくなり、黒ずみの発生を抑えることができます。
2. 洗う時は「たわし」で「木目に沿って」
使用後はなるべく早めに洗うことが鉄則です。洗剤は木の油分を奪ってしまうため、基本的には以下の手順で洗います。
- まずは水洗い
肉や魚を切った直後にお湯をかけるとタンパク質が固まってしまうため、まずは水で汚れを落とします。 - たわしで洗う
柔らかいスポンジではなく「たわし」を使い、木目に沿ってゴシゴシと洗います。 - 必要に応じて洗剤を
軽い汚れなら水洗いで十分です。油汚れが気になるときだけ少量の洗剤を使いましょう。
3. 風通しの良い日陰でしっかり乾かす
洗った後は清潔な布巾で水分をよく拭き取り、風通しのよい場所で陰干しします。直射日光に当てたり、食洗機の乾燥機能を使ったりすると、急激な乾燥により割れや反りの原因となるため避けましょう。
まな板スタンドなどを利用して、底面を浮かせた状態で立てて乾かすと、全体が均一に乾きやすくなります。
カビ・黒ずみが生えたときの除去方法は?
気をつけていても、長く使っていればカビや黒ずみが発生してしまうこともあります。
しかし、木製まな板は表面を削ることで再生できるのが大きな強みです。汚れの程度に合わせた対処法を知っておけば、お気に入りの一枚を捨てずに済みます。
軽いカビならヤスリで落とせる
表面にうっすらとできた初期のカビや黒ずみであれば、以下の手順で削り落とすことが可能です。
- 市販のサンドペーパー(紙やすり)の粗目で汚れを削り取る。
- 細かい目のやすりで表面を整える。
- 最後にオイルなどを塗って保護し、滑らかな手触りに戻す。
これは自宅で手軽にできるメンテナンスとして有効です。
深い黒ずみにはどう対処する?
内部まで浸透してしまった深い黒ずみには、酸素系漂白剤を使用する方法もありますが、木質を傷めたり成分が残留したりするリスクがあるため慎重に行う必要があります。
塩素系漂白剤は木の繊維を破壊し、変色の原因になるため基本的には推奨されません。
どうしても落ちない場合は、無理をせずプロに任せるのが賢明です。
「削り直し」サービスを利用して一生モノに
多くのまな板メーカーや専門店では、有料での「削り直し」サービスを行っています。
専用の機械で表面を一皮むくように削ることで、深い傷や黒ずみが消え、新品のような香りと美しさが蘇ります。
厚みのあるまな板を選んでおけば、数年ごとに削り直しを繰り返し、10年、20年と長く愛用できます。
木製まな板に関するよくある質問
購入前に多くの人が抱く疑問について回答します。正しい知識を持っておくことで、購入後の「こんなはずじゃなかった」を防げます。
オイル塗装は必要?
- オリーブやアカシアなどの洋風まな板は、乾燥によるひび割れを防ぐため、定期的にオリーブオイルや専用のメンテナンスオイルを塗る必要があります。
一方、ヒノキやイチョウなどの和まな板(白木)は、基本的に無塗装で使用しますが、汚れ防止のために乾性油(クルミ油など)を薄く塗る場合もあります。
素材に合わせたケアを行いましょう。
カビない木製まな板はある?
- 残念ながら、天然素材である以上「絶対にカビない」木製まな板は存在しません。
しかし、抗菌作用の強い青森ヒバを使用したものや、特殊な樹脂加工で撥水性を高めたものなど、「カビにくい」商品は販売されています。
また、使用後の乾燥を徹底することで、カビのリスクは大幅に減らせます。
まとめ
木製のまな板は、手入れの手間こそかかりますが、使うほどに愛着が湧き、料理をつくる時間を特別なものにしてくれます。
刃当たりのよさやキッチンの雰囲気づくりなど、得られるメリットは大きいです。
自分のライフスタイルに合った木の種類や形を選び、正しいお手入れで長く大切に使ってみてください。
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