家庭用3Dプリンターは、フィギュアや日用品など多彩な造形を可能にする便利なツールです。3DCADなどのデータを元に素材を積み上げて立体物を作成する仕組みで、最近では初心者にも扱いやすく、価格の手頃なモデルが多数登場しています。
本記事では、家庭用3Dプリンターの選び方のポイントやおすすめ機種を詳しくご紹介。手軽にモノづくりの世界を楽しんでみませんか?
家庭用3Dプリンターとは?どんなものが作れるの?
家庭用3Dプリンターとは、3Dデータを元に立体物を作成する装置。用意した3DCADや3DCGデータを専用ソフトで処理し、素材を層ごとに積み上げることで立体物を造形します。方式としては、熱を使ってプラスチックを積層する「FFF方式」や、光で樹脂を硬化させて造形する「光造形方式」が主流です。
家庭用3Dプリンターでは、フィギュアや模型をはじめ、DIY用の部品やスマホケースなど、多彩なアイテムを作ることが可能。複雑な形状も正確に造形できるため、趣味や実用の両面で活躍します。また、最近では安価なモデルも増え、初心者でも手軽にモノづくりに挑戦できるようになっています。
3Dプリンターの選び方
3Dプリンターを選ぶ際は、造形方式や解像度、対応素材、サイズなどが重要なポイントです。用途や目的に合った機種を選ぶことで、より快適にモノづくりが楽しめます。
①まずは造形方式をチェック
3Dプリンターの造形方式は大きく2つ。初心者でも扱いやすく価格が手頃な「FFF方式」と、フィギュアなど精密な造形に適した「光造形方式(SLA・DLP・LCD方式)」です。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方式を選びましょう。
FFF方式:扱いやすく、初心者におすすめ!
FFF方式はフィラメントと呼ばれるプラスチックの針金のような材料を熱で溶かしてソフトクリームのように材料を積み重ねていくことで3Dの形状を作っていく方式。
材料を素手で扱えるため、管理が楽で印刷へのハードルも低いため、世界的に最も普及している3Dプリント方式です。PETGやPC(ポリカーボネート)、ABSなど量産されている製品に使用される材料そのもので部品などの製作ができて、強度が必要な部品の製作も可能です。3Dプリンターの価格も他の方式と比べて安価で始めやすい点も利点です。
光造形方式:フィギュアなどの精密な造形を作成したいなら
SLA・DLP・LCDの違いは光源や制御方式にあり、すべて紫外線でレジンを硬化させる光造形方式です。SLAはレーザー、DLPはプロジェクター光、LCDは液晶ディスプレイで必要な部分を硬化させる方式で、ホビー向けでは安価なLCD方式が主流。光造形の最大のメリットは高精細な造形が可能な点で、フィギュアやFFF方式では難しい透明な造形品にも適しています。
一方で、液体の薬品(レジン)を使うため扱いが面倒で、プリント後の洗浄や二次硬化といった後工程が必要です。このような手間から、操作が煩雑に感じる場合もあります。また、使用素材がABSやPCのような工業用樹脂ではなく、光硬化レジンに限られる点も注意が必要。高精細なプリントを求める場合は、これらのデメリットを受け入れる必要があります。
②対応素材の確認は必須!作りたいものに合った材料を選ぼう
3Dプリンターでの造形結果は、選ぶ素材によって大きく変わります。適切な素材を選ぶことで、耐久性や見た目、用途に合わせた理想的な造形物が作成できます。以下に代表的な対応素材とその特徴を紹介します。
PLA
PLAは最も使用される樹脂で、色や質感のバリエーションが豊富。光沢やマット、金属光沢のあるシルク調なども選べます。部品だけでなくアート作品にも使われ、価格が安い点も魅力です。性質としては硬く変形しにくい一方で、割れやすく、耐熱性が低いという欠点があります。特に夏の炎天下や車内では変形することがあるため、高温環境での使用や輸送時には注意が必要です。
ABS
PLAより柔らかく、しなやかで割れづらい性質を持っているため、長期間使用する部品のプリントに適しています。ただし、急激に冷えると反りが発生しやすいため、印刷には保温が可能なエンクロージャーが必要です。また、有害ガスが発生する場合があるため、プリンターの取扱説明書を確認し、印刷中は換気を徹底することが求められます。
PETG
材料色が透明のため、透明な部品を製作したい場合によく使用されます。また、PLAより柔らかくしなやかで、耐熱性にも優れているため、長期使用に適した素材として人気です。さらに、ABSより印刷の難易度が低く、エンクロージャーを必要としない点も扱いやすさの魅力です。
ただし、積層すると完全に透明にはならず、透けるほどの透明感を出すには高度な技術が求められます。
PC(ポリカーボネート)
PLAより柔らかくしなやかで、耐衝撃性や曲げ強さなど、最も高い強度を持つ素材です。耐熱性も100℃以上に耐えるものがあり、長時間力が加わることで変形する「クリープ現象」にも強いため、荷物を引っ掛けるフックなどの部品製作に適しています。
ただし、急激に冷えると割れや反りが発生しやすいため、保温が可能なエンクロージャーの使用が必要です。
③解像度もチェック。仕上がりの精密さを左右するポイント
3Dプリンターの印刷品質は、造形物の精密さや表面の仕上がりに直結します。高精度なモデルほど滑らかで細部まで緻密な造形が可能で、特にフィギュアや模型の作成には重要です。
印刷品質は解像度やビルドレイヤー(1層ごとの厚さ)によって決まるため、特に初心者には0.1mm程度の解像度を持つものがおすすめです。用途に応じて、自分が求める仕上がりを基準に選びましょう。
④ビルドボリュームで作れるサイズを確認しよう
3Dプリンターを選ぶ際、ビルドボリューム(造形可能なサイズ)は重要なポイントです。ビルドボリュームが小さいと、大きな物を作りたい場合に分割して印刷しなければならず、手間と仕上がりに影響することがあります。
小型フィギュアやアクセサリなどの小サイズの造形がメインなら、コンパクトなビルドボリューム(150mm×150mm×150mm程度)でも十分。一方、大型アイテムや複雑な構造のプロトタイプを作るなら、300mm×300mm×300mm以上のモデルを選ぶと作業が効率的になります。
また、ビルドボリュームが大きい機種ほど本体サイズも大きくなるため、設置スペースの確保も考慮が必要です。使い方や用途に応じて、自分にぴったりのビルドボリュームを選ぶことで、3Dプリンターのポテンシャルを最大限に活かせますよ。
⑤扱いやすさを左右する、追加機能をチェック
3Dプリンターには、Wi-Fi対応や材料の自動供給機能、クラウドサービスなど、多彩な追加機能が搭載されています。これらを活用することで、操作性や作業効率が格段に向上しますよ。
Wi-Fi対応モデル
Wi-Fi対応の3Dプリンターは、データのやり取りをケーブルやSDカードを使わなくても行えます。PCやスマホから直接プリンターにデータを送ることができ、場所やデバイスを選ばずに操作可能。さらに、クラウドとの併用で遠隔操作ができる機種もあり、印刷中の進捗確認やほかの作業の合間に利用するなど非常に便利です。
クラウドサービス対応
クラウドサービス対応の3Dプリンターは、ネットワークを利用したデータ管理が可能となり、頻繁にモデルデータをプリンターに転送する必要がなくなります。一部のサービスではクラウド上にデザインファイルを保存したり、他ユーザーが公開しているデザインを利用することも可能。また、自宅以外の場所からプリンターの運転状況を確認や操作でき、作業効率を大幅に向上させます。
材料の自動供給機能
材料(フィラメント)の自動供給機能がある3Dプリンターは、初心者や長時間の印刷に最適です。この機能があるとプリンター自体が材料の供給を管理するため、印刷中にフィラメントが切れる心配が減ります。一部のモデルでは、AMS(自動材料供給システム)により複数のフィラメントをセットし、多色プリントや異素材の切り替えも可能に。作業のスムーズさや完成精度が格段に向上します。
プロが厳選!初心者におすすめな3Dプリンター6選
3Dプリンターのプロ・かけるさんに、初心者でも扱いやすい家庭用の3Dプリンターを厳選していただきました。FFF方式と光造形方式それぞれのおすすめモデルを分かりやすくご紹介します!
FFF方式のおすすめ4選
ここからは、扱いやすさで初心者に人気のFFF方式3Dプリンターを4つご紹介します。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
光造形方式のおすすめ2選
ここからは、フィギュアや精密な造形に適した光造形方式の3Dプリンターを2つご紹介します。高精細な仕上がりを求める人におすすめのモデルをチェックしてみましょう。
よく起こるトラブルの解決方法は?
よくあるトラブルとして挙げられるのが、フィラメントの詰まり。材料が詰まった際にはノズルを突っつくロッドや針が付属してくるため、ノズルを温めた状態でそれらでフィラメントを押し出して解消します。
また、材料がプラットフォームに定着しないトラブルも多く見られます。プラットフォームに手の油や汚れが付着すると造形がくっつきにくくなるため、定期的にハンドソープやアルコールやパーツクリーナーで清掃することをおすすめします。パーツクリーナーは樹脂に影響しないプラスチックセーフのタイプがおすすめです。
さらに、定着が悪い場合はスティックのりを活用するのも効果的です。しわなしピットなどの一般的なのりが多く利用されています。
まとめ
3Dプリンターを検討する際は、まず「何を作りたいか」によってFFF機か光造形方式を選ぶのがおすすめです。フィギュアなど高精細な造形が必要な場合は光造形方式、日用品や部品の製作には扱いやすいFFF機が向いています。
有害ガスや火事といったリスクもありますが、正しい知識を持ち、安全に使用すれば非常に便利で実用的なツールとなります。知識をしっかり身につけ、安心してモノづくりを楽しみましょう!
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